牧場内を流れる渓流
神津牧場での自然体験プログラムの2つ目は、「水生生物を捕まえよう」。ほとんどの子供がふれたことのない、源流部のきれいな川に入り、水の温度やきれいさを体感してもらうものです。
『理化学的水質判定』(水を採取し直接化学的分析をして水質を判定する方法)と、『生物学的水質判定』(水中の生物相から水質を判定する方法)を利用して、神津牧場の水質を調べました。
理化学的水質判定では、牧場内の渓流で採取した水と、あらかじめ用意した汚れた水を使って、アンモニウム態窒素(NH4)、硝酸態窒素(NO3)、りん酸態りん(PO4)の測定をし、値の違いをみました。牧場内の渓流で採取した水の測定結果は、アンモニウム態窒素(NH4):0..2mg/L、硝酸態窒素(NO3):0.2〜0.5mg/L、りん酸態りん(PO4):0.02mg/Lで、断然きれいな水であることが確認されました。
エルモンヒラタカゲロウ・ナガレトビケラ・ヒゲナガカワトビケラの幼虫
生物学的水質判定では、みんなで渓流に入って水生生物を探した結果、次のような生物が採集されました。カゲロウ目ではエルモンヒラタカゲロウの仲間、カワゲラ目のカワゲラの仲間、トビケラ目ではナガレトビケラ、ミヤマシマトビケラの仲間、ヒゲナガカワトビケラ、さらに、ナミウズムシ、サワガニ、ヤゴ(トンボの幼虫)の一種、アメンボの一種、イワナ、ハコネサンショウウオ(死骸)。
実際に捕れた生物の中に、『きれいな水質の指標になる生物』がどれぐらいいたかを調べ、ほとんどがそれに該当する生物だったことを確認してもらいました。
以上の2つの水質判定結果から、「理化学的」にも「生物学的」にもきれいな水であることを実感していただきました。また、水を汚さないようにとの配慮から、川と草地との間に森を配置している神津牧場の取り組みについてもお話ししました。自分たちの暮らしと水の汚れの関係を考え、きれいな水のある暮らしをするためにはどうしたらよいか、考えるきっかけにしていただけたように思います。
源流の伏流中で育つ、ハコネサンショウウオの幼生