夏の終わりに、軽井沢町教育委員会(生涯学習課)主催の「トムソーヤクラブ」の野外体験を、あーすわーむが受け持ちました。川の上流部、集落が尽きて畑が多くなる山裾の環境です。久しぶりに夏が戻った日差しの下、小学生10余名が清流に入って石の下などに潜む虫を探し、カゲロウやトビケラなど、多彩な昆虫の採集・観察をしました。あーすわーむには渓流釣りの達人がいます。魚の目とキモチを持てば、どこに何がいるかすぐわかることが、その腕前で示されました。「自分がヤマメならここに住みたい」という場所が見えるのです。
ヤマメ
その川は、数年前までカジカが多い、水の澄んだ流れでした。でも、このたび川に入ってみると、すぐに泥が巻き上がって濁りました。カジカは少なく、今までいなかったアブラハヤが多く確認されました。
カジカ(左)とアブラハヤ(右)
思えば最近、さらに上流で、山を削るほど大規模な開発がありました。そこから流れ出た土砂が川底の砂利の間に沈殿し、水を濁らせる原因になっていることが考えられます。削られた山の植生が回復するまで、しばらく泥がたまった状態が続くかもしれません。それまでカジカが生き残っていればよいのですが……。こうした環境の変化にいちはやく気づくのが、私たちの使命なのだろうと思います。
でも、小学生にはとてもそんな話はできません。まず生きものと遊んで、自然に親しみ、自然を好きになるべき年頃なのです。いきなり自然破壊、地球温暖化、外来生物などの話をしてしまうと、自然は何だか暗く怖い世界と思ってしまい、自然嫌いの人間を作ってしまうと指摘されています。
自然とのふれあいは、年齢に応じて段階的に行われたいものです。まず、身近に楽しい場所があることを知り、ランドスケープを広げていくことが大事です。その先に、たとえばホッキョクグマのおかれている現状が想像でき、行動できるようになっていくのです。