2015年04月13日

浅間鳥獣保護区でのシカの捕獲

 近年、浅間山麓ではシカの分布が高標高地域にまで広がり、大きな問題になっています。樹皮が剥がされたり、草本植物が食べられたりと、植生には深刻な影響が見られ、それが他の動物に及ぼす間接的な影響も心配されています。
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 軽井沢町では浅間山麓の生態系を保全するためにシカの個体数調整を試みてきましたが、高標高地域でシカを捕獲するのは簡単ではありません。雪が深く、人や車が簡単に入っていけないからです。また、浅間鳥獣保護区内にはカモシカやツキノワグマが多く生息しているので、罠をかければ誤ってそれらの動物誤って捕まえてしまう可能性も高いのです。
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 私達は、軽井沢町からの委託を受け、2012年から浅間鳥獣保護区内で銃器によるシカの捕獲を行ってきました。シカを撃つのは、山梨に住む腕利きのハンターさんです。これまで毎年30頭ずつ、合計90頭のシカを捕獲しました。これらのシカからは、体の大きさや胃の中の食物組成、妊娠率など、できるだけ多くの情報を得て、科学的な分析を行っています。シカの分布拡大の原因を究明し、今後の対策に役立てるためです。私達は、浅間山麓の生態系保全のために、今後もこのような活動を続けていくつもりです。
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撃ったシカから個体の情報を得るためのサンプリングを行っているところ



 
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2014年11月05日

目的のわからない人為的移入

 地域の恥をさらすようですが、身近な川で北米原産のウチダザリガニをみつけてしまったのは、2012年でした。地元にはその前年から気づいている人もいるようでしたし、ザリガニの大きさからいって、5〜6年前から入っている可能性が考えられました。誰が何の目的で放したのか、まったく見当がつきません。
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 北海道の湖で大繁殖し、問題になっています。マリモなどの被害もあるため、ダイバーが潜って駆除しているほど。本州では猪苗代湖が有名で、夏には捕まえて食べる大会も催されています。特定外来生物ですが、その場で殺して食べる分には構わないのです。
 一番いけないのは、捕まえて飼育し、飼いきれなくなって適当なところに逃がす、というパターン。そのため、生きた状態で持ち運ぶことが法律で禁じられているのです。
 私たちは長野県環境保全研究所とともに、生態系からの排除を進めています。これまでの3年間で110匹以上を捕獲・駆除しました。おそらく水温や川底の環境の関係で、生息範囲は限られていますが、爆発的に増えないよう、数を押さえ込んでおかなくてはなりません。
 外来種は、地域固有の生物多様性の大敵です。外国の生物が侵入し、生態系が何となく落ち着いて安定してしまう頃には、地域のオリジナリティをなしていた在来種がたくさん犠牲になっているのです。


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2013年10月09日

神津牧場での自然体験プログラム・2013夏(2)

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牧場内を流れる渓流
 神津牧場での自然体験プログラムの2つ目は、「水生生物を捕まえよう」。ほとんどの子供がふれたことのない、源流部のきれいな川に入り、水の温度やきれいさを体感してもらうものです。
 『理化学的水質判定』(水を採取し直接化学的分析をして水質を判定する方法)と、『生物学的水質判定』(水中の生物相から水質を判定する方法)を利用して、神津牧場の水質を調べました。
 理化学的水質判定では、牧場内の渓流で採取した水と、あらかじめ用意した汚れた水を使って、アンモニウム態窒素(NH4)、硝酸態窒素(NO3)、りん酸態りん(PO4)の測定をし、値の違いをみました。牧場内の渓流で採取した水の測定結果は、アンモニウム態窒素(NH4):0..2mg/L、硝酸態窒素(NO3):0.2〜0.5mg/L、りん酸態りん(PO4):0.02mg/Lで、断然きれいな水であることが確認されました。
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エルモンヒラタカゲロウ・ナガレトビケラ・ヒゲナガカワトビケラの幼虫
 生物学的水質判定では、みんなで渓流に入って水生生物を探した結果、次のような生物が採集されました。カゲロウ目ではエルモンヒラタカゲロウの仲間、カワゲラ目のカワゲラの仲間、トビケラ目ではナガレトビケラ、ミヤマシマトビケラの仲間、ヒゲナガカワトビケラ、さらに、ナミウズムシ、サワガニ、ヤゴ(トンボの幼虫)の一種、アメンボの一種、イワナ、ハコネサンショウウオ(死骸)。
 実際に捕れた生物の中に、『きれいな水質の指標になる生物』がどれぐらいいたかを調べ、ほとんどがそれに該当する生物だったことを確認してもらいました。

 以上の2つの水質判定結果から、「理化学的」にも「生物学的」にもきれいな水であることを実感していただきました。また、水を汚さないようにとの配慮から、川と草地との間に森を配置している神津牧場の取り組みについてもお話ししました。自分たちの暮らしと水の汚れの関係を考え、きれいな水のある暮らしをするためにはどうしたらよいか、考えるきっかけにしていただけたように思います。
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源流の伏流中で育つ、ハコネサンショウウオの幼生



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