2013年10月09日

神津牧場での自然体験プログラム・2013夏(2)

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牧場内を流れる渓流
 神津牧場での自然体験プログラムの2つ目は、「水生生物を捕まえよう」。ほとんどの子供がふれたことのない、源流部のきれいな川に入り、水の温度やきれいさを体感してもらうものです。
 『理化学的水質判定』(水を採取し直接化学的分析をして水質を判定する方法)と、『生物学的水質判定』(水中の生物相から水質を判定する方法)を利用して、神津牧場の水質を調べました。
 理化学的水質判定では、牧場内の渓流で採取した水と、あらかじめ用意した汚れた水を使って、アンモニウム態窒素(NH4)、硝酸態窒素(NO3)、りん酸態りん(PO4)の測定をし、値の違いをみました。牧場内の渓流で採取した水の測定結果は、アンモニウム態窒素(NH4):0..2mg/L、硝酸態窒素(NO3):0.2〜0.5mg/L、りん酸態りん(PO4):0.02mg/Lで、断然きれいな水であることが確認されました。
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エルモンヒラタカゲロウ・ナガレトビケラ・ヒゲナガカワトビケラの幼虫
 生物学的水質判定では、みんなで渓流に入って水生生物を探した結果、次のような生物が採集されました。カゲロウ目ではエルモンヒラタカゲロウの仲間、カワゲラ目のカワゲラの仲間、トビケラ目ではナガレトビケラ、ミヤマシマトビケラの仲間、ヒゲナガカワトビケラ、さらに、ナミウズムシ、サワガニ、ヤゴ(トンボの幼虫)の一種、アメンボの一種、イワナ、ハコネサンショウウオ(死骸)。
 実際に捕れた生物の中に、『きれいな水質の指標になる生物』がどれぐらいいたかを調べ、ほとんどがそれに該当する生物だったことを確認してもらいました。

 以上の2つの水質判定結果から、「理化学的」にも「生物学的」にもきれいな水であることを実感していただきました。また、水を汚さないようにとの配慮から、川と草地との間に森を配置している神津牧場の取り組みについてもお話ししました。自分たちの暮らしと水の汚れの関係を考え、きれいな水のある暮らしをするためにはどうしたらよいか、考えるきっかけにしていただけたように思います。
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源流の伏流中で育つ、ハコネサンショウウオの幼生



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2013年10月08日

神津牧場での自然体験プログラム・2013夏(1)

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(左)お昼どき、ジャージー牛が搾乳のために、ほとんど自主的に行進してくる。人気の光景
(右)ネイチャークラフトのイベント風景

 群馬県下仁田町、ほぼ長野県境の標高1,100mの高原に、神津牧場があります。ここは、日本で最初の洋式牧場として発足し、おいしいソフトクリームとジャージー牛でも有名です。2013年夏、あーすわーむは神津牧場と協同で、2つの自然体験プログラムを行いました。
 神津牧場とあーすわーむは、野生生物調査などを通して以前から交流があり、牧場周辺の資源活用について話し合いを持ってきました。牧場の畜産資源と周辺の豊かな自然資源の魅力を、多くの方に体験していただき、環境教育やグリーンツーリズムなどを通して社会貢献したいという両者の思いがあります。
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 この夏は、予約制ではなく、来訪者に気軽に体験していただけるプログラムを用意しました。木を利用した「ネイチャークラフト」と、牧場内を水源とし、やがて利根川に流れ込む渓流を利用した「水生生物を捕まえよう」という2つのプログラムです。
 「ネイチャークラフト」は、基本的に自由な作品づくりですが、頭が動く、手足が動く、尾が動くなど、動くしくみを取り入れることで、より楽しめる作品作りへ導きました。何を作るかイメージが固まるまでは、皆さん時間がかかりますが、決まってからは次々と創造が膨らみ、子供も大人も夢中で楽しんでいました。大人の想像を超える子供たちの発想には、感動させられることもありました。木という素材を楽しみながら、自然に親しむきっかけにしていただけたようです。
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2013年07月17日

コウノトリの郷公園で環境教育実習

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ウノトリの成鳥(左)とコサギ
 兵庫県立コウノトリの郷公園は、山陰地方の豊岡市にあります。コウノトリの野生復帰が軌道に乗り、現在は半飼育状態にあるものと合わせて170羽余りに増えました。県と市といくつものボランティア団体からなる三重構造がうまく機能して、予想を超えた大成功を収めています(里地での野生復帰プロジェクトとしては、世界でも例のない成功)。
 農家の方々の理解を得るまでにも、並々ならぬ努力がありました。「コウノトリは稲を踏み倒す害鳥だ」と言う人のために、1000株の稲のうち、踏まれるのは数十株で、そのうち再び起き上がれない株は数株にすぎないことなど、科学的なデータで実証しました。地に足の着いた取り組みが、今、実を結んでいるのです。

 この公園は、@保護・飼育、A調査・研究、B普及・啓発の三本の柱で成り立っていますが、このたび、Bの強化ということであーすわーむが招かれ、私たちが持つ環境教育のノウハウを披露する機会をいただきました。

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巣塔の上のヒナは巣立ち間近.すでに足環がつけられている

 7月6日の午前中、インタープリター(自然ガイド)に必要な自然観や技術、メッセージを産み出すために欠かせない調査体験、運営と経営、教育的意義などの講義をしました。特に、自然公園や環境教育施設に行かないと自然がないかのような教育はよくなく、子どもたちにはふだんから家のまわりの自然にふれさせておく必要があることを強調しました。
 午後はフィールドワーク実習で、地域ボランティアの方も交え、魚や水生昆虫などを捕まえました。そして、それらを種として見るばかりでなく、個体識別して追跡したり、生物群集を意識したりして見ると、有機的でかけがえのないフィールドが浮かび上がってくることなどをお話ししました。さらに、進化的背景を考えれば、知らないことでも自信を持って伝えられることなどをお話ししました。

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(左)すっかり環境に馴染んだ巣塔に、コウノトリも馴染んでいる
(右)夏に水田の「中干し」をする際、生きものを避難させる「逃げ場」.畦の下を塩ビのパイプが何本も通ってコリドーとなっている


 コウノトリは環境のバロメーターとしての役割を担って放鳥されています。そうしたことは、ややもすると小難しい話になります。私たちも、外来種や希少種の問題に携わるとき、小難しくなりがちなのをどう克服するかの壁によくぶつかります。「わかりやすさ」も大切ながら、「小難しさ」を簡単に捨ててはいけないと思います。経営の基盤こそ違うものの、環境教育に共通の課題に直面しているもの同士、よい交流が持てました。

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(左)農家の方がコウノトリのために水田を放棄してくれた谷戸の湿地.周辺はラムサール条約登録湿地
(右)まだプロジェクトがこれからという頃、偶然ロシアから飛来した野生のコウノトリ「ハチゴロー」が何年か居ついた戸島湿地.ハチゴローはコウノトリの好む環境を自ら示し、プロジェクトにかかわる人々に大きな自信を与えてくれた
(石塚)






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