2012年10月25日

犬の能力をいかして獣害対策を

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 9月26日に高知県中土佐町で「獣害対策に愛犬の能力をいかそう!」という講習会(NPO法人四国自然史科学研究センターと中土佐町農林課の共催)があり、講師として出席しました。
 海に近い山林で、小さな尾根と農地・集落が入り組んでいる環境。野生動物との緩衝地帯がなく、放棄された柑橘類やビワの木が残っていました。畑の多くが家庭菜園のため、防除柵はほとんどなく、サルの被害に悩まされているというのもよくわかります。

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 6年前にモンキードッグ事業を導入して3年間実施したそうですが、スワレ、フセ、コイ、マテなど服従課目の訓練を行い、サルが来たらただ犬を放すという、訓練と作業がリンクしていないものでした。ただ放すだけの追い払いなら、犬の素質さえ選べば訓練はいらないぐらいです。木の上まで犬が登って来ないことは、サルたちにすぐ悟られてしまうので、効果が出るのは最初だけです。
 3頭のモンキードッグのうち、高齢で引退した犬の散歩中にたまたま出会いました。「犬でサルを追っ払おう思うたら、訓練はずっとせないかんね。ただ犬だけ山に放したち、サルがすぐに慣れてしまうき」と、まさに的を射た飼い主の感想。「飼い主もいっしょに山に入らんといかんきに、年取ったら難しいきね〜」とも。集落の高齢化が野生動物の侵入の大きな要因だった場合、さらに高齢者に負担をかけるような方法では長続きしないのかもしれません。

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 犬の能力を使いきらずに「犬なんて役に立たない」「犬より猿の方が賢いからダメだ」という話が広まるのは残念でなりません。今回の講習会も、住民の方の参加が少なく、行政関係者の方が多い状態でした。でも、複数の行政担当者に、これまでの失敗の原因と、今後の改良点を理解してもらえたと思います。
 おそらく同じ原因で、各地ともモンキードッグのブームは下火になってきていますが、獣害対策としてポテンシャルの高い方法です。ただし、追い払いに必要な訓練と競技会的な服従訓練とは全く別ものです。また、犬を「切り札」と位置づけるのではなく、総合的な対策のうちのひとつの手段と考えることが大事です。そして何より、ただ犬を放すのではなく、その地域に合った方法をみつけていくことです。
 これからも正しい理論と実践で、興味を持って取り組もうとしている地域をサポートしていきたいと思います。
                                     (山下)

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2012年07月11日

小川の生きもの観察会!

 軽井沢町教育委員会(生涯学習係)の主催する「トムソーヤクラブ」で、あーすわーむが『小川の生きもの観察会』を担当しました(7月7日)。場所は、軽井沢南部の丘陵から流れる湧水。小学校中学年以下が多かったので、生きものがどこにいそうかを探り、さわってみて、傷つけずに逃がす、という体験を中心に企画しました。30名の子供たちが、泥をはねかせて奮闘。浸水した長靴の中の感触を楽しんでいる女の子も。

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                                 ホトケドジョウ

 減少が心配されるホトケドジョウ、ツチガエル(オタマジャクシ)、コオイムシをはじめ、オニヤンマ、ヘビトンボ、モンカゲロウなどの幼虫、ヒキガエル(オタマジャクシ)、ドジョウ、アブラハヤ、カワニナなどが捕れました。7cm超のオタマジャクシ(ツチガエルの越年幼生)が網に入っていたときに上がった「うわぁっ!」という歓声。それは、予期しないことが起こることのおもしろさを知った瞬間のようでした。

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                            ツチガエルのオタマジャクシ

 保護者の方に車で送迎された子どもたちですが、本当は、おとなに連れて来てもらわないと来られない「どこか遠くの場所」ではありません。自由に来てよい「ふるさと」の一部です。そう思って、子どもたちが誘い合わせ、また自然探検に来てくれることを願います。

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                     コオイムシ(子負い虫)
posted by あーすわーむ事務局 at 22:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月02日

「カミナリシギ・シリーズ」完結!

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 大声で鳴きながら飛び、急降下するときに尾羽ですさまじい風切音を立てることから、カミナリシギともよばれるオオジシギ。日本列島からサハリン南部でしか繁殖しない、世界的な希少種です。春にオーストラリアから渡ってきます。北海道の原野などにはまだ多いのですが、本州の繁殖地は非常に局地的で、いずれも危機的な個体数です。

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オオジシギ(カミナリシギ)

 長野県では霧ヶ峰、軽井沢、野辺山、菅平などに少数生息しています。あーすわーむと長野県環境保全研究所では、近年その実態を調べてきました。主な生息地である霧ヶ峰や軽井沢は、火山の歴史や飼馬の歴史が生息地を維持してきたことがわかりました。軽井沢では、湿生草原のリゾート開発によって生息地を追われたオオジシギが、減反政策による水田の休耕地化で生じた二次草原に避難した歴史もわかりました。霧ヶ峰も軽井沢も、今後は二次草原の野焼きや草刈りが持続されないと、繁殖地の維持が難しいことも見えてきました。長野県全体でも、現在50つがい程度しか生息していないようです。

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3/20の公開セミナー:講演『カミナリシギがシンボル 〜軽井沢の草原生態系〜 』

 2012年の春、こうした実態を、長野県環境保全研究所主催の公開セミナー
http://www.pref.nagano.lg.jp/xseikan/khozen/sizen/seminar23-2_abstract.pdf
研究報告書によって
http://www.pref.nagano.lg.jp/xseikan/khozen/khokoku/pdf/8-3.pdf
公表しました。
 また、『軽井沢のホントの自然』(ほおずき書籍)という本も、「“森の町” 軽井沢の貴重な自然は、むしろ田園地帯にある」ことをアピールするため、時期を合わせて出版したものです。

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5/20の観察会:朝霧の中で地域の自然史に思いを馳せる

 さらに5月20日、夜明け前に活発なカミナリシギの音声を聞く会を開きました(県環境保全研究所とあーすわーむ共催の『自然ふれあい講座』)。午前2時半という集合時間にもかかわらず、県内各地から、定員(20名)を超える参加者が集いました。カエルの声を聞き、今や休耕田でしか生きられない希少鳥類を観察し、オオジシギをシンボルとした湿生草原の価値と今後の保全について、感じることを分かち合う機会になりました。

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休耕田で草原性の小鳥を観察
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コヨシキリ
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ホオアカ
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ノビタキ
posted by あーすわーむ事務局 at 20:32| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする